囚われの姫
「アルク、遅かったではないか。待ちくたびれたぞ。」
塔の長い長い階段を降り終えたアルクを待っていたのは、偶然にしてはタイミングが良すぎる王の言葉だった。
「これは殿下…。
おはようございます。」
降りた途端に声をかけられて、アルクは少々面食らったが、さすがに国の騎士団団長をつとめているだけあり、感情を表にだすことはなかった。
それに…アルクを驚かせたことはもう1つ。
いつも早起きなどしない陛下が、なぜこんな早朝に自分を待っていたのか…と。
考えられることといったら、嫌なことしか浮かばない。