囚われの姫


「陛下、本日は随分とお早いお目覚めでございますね」



「まあな。


戦が近づいているのだから、寝ているばかりにもいくまい?」



王の放った”戦”という言葉に、顔が引き攣りそうになるのを、アルクはすんでのところでぐっと堪えた。


この王は他の国に類をみないほどの戦好きとして知られていたのだ。



「左様でございますね…。

敵の名をお教えいただけますか?」



「アルク、頼まれなくともお前に1番に知らせるに決まっているではないか。」



そう急くなよ、と笑ってみせる王は間違いなく、アルクを戦友かなにかだと思っているのだろう。



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