囚われの姫
朝7時を告げる鐘が、ルシカの都イリエスに響き渡る。
この朝の決まった時間に鳴る鐘により、このイリエスの民はもちろんのこと、鐘の主である城に住まう者も、規則正しく起きれると言っても過言ではなかった。
…だが、それは鐘から離れた場所の人間のこと。
イリエスの端にいたとしても聞こえるそれは…城の中で煩くないように(もちろんこの城の主である王も眠っているのだから)城の中では1番の高さを誇る北の塔に作られていた。
ルシカの王が住まうこの城には東西南北に高い塔がある。
北は朝を告げる鐘の塔。
西は海が見渡せる見張りの塔。
東は空を見るための天文台。
…そして、南はこの城で1番警護が厳重な天空の牢屋。
通称”囚われの姫君の塔”だった。