囚われの姫
「オルガー様。
どうか…頭を上げてください。
あなたはアルク様と同じく騎士団にお勤めなのでしょう?
これからも、この国の民が苦しむことのないよう、皆様を守ってください。
そして…どうかご自分のお体も大事になさって…。」
柔らかく微笑むティアラに、オルガーのつぶらな黒い瞳には零れんばかりの水が沸き上がる。
アルクはティアラの細い体をしっかりと腕に抱いた。
「ティアラ様…では、参りましょうか。」
「…えぇ。」
ティアラは三年と二ヶ月の時を過ごした塔に、心の中で別れを言う。
長い1日は、まだ始まったばかりだった。