囚われの姫




「リリア?」




ふいに聞こえた深いテノールの声。



(……お父様!)



懐かしい父の声は、じんわりとティアラの中に懐かしさを呼び起こす。






「リリア?ティアラはまだ起きないのか?」




「えぇ…アレン様。

無理に起こすのもかわいそうだから…ティアラは寝かせておいてあげましょう?


今日は久しぶりにみんなでお出かけできると思ったけど…仕方ないわ。

またの機会にしましょうか。」





(待って…!お母様!)




ティアラは懸命に瞼に力を入れる。


それがやはり無理と分かると口を開けて声を出そうともがいた。




だが…どこに力を入れようと自分の体が動かない。




手も足も…指一本さえも動かせない。








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