囚われの姫





柔らかい表情のマクサスと名乗った男に、ティアラは自分も名前を名乗らなければ…と慌てて返す。





「…私の名は……ティアラ・スワロと…申します。」




いきなり言葉を発したからか、ティアラの声は小さく掠ていて。





「存じておりますよ、ティアラ姫。

それはそうと…喉が渇いてはおりませんか?」



「あ…すみません。

いただきます。」




ベッドのわきのテーブルには水の入ったグラスが用意されていて、マクサスにそれを受けとったティアラはゆっくりと自分の口にあてがった。





「ティアラ姫、…嫌な記憶を思い出させてしまったら申し訳ありません…。


ゼナの離宮での事、覚えていらっしゃいますか…?」



「っ……。

えぇ…、覚えています……。」





あの暗闇を思い出し恐怖に声を震わすティアラは、その時背後の扉が開いたことに気付かなかった。




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