囚われの姫
柔らかい紫の双眸がアルクをひたと捉える。
その容姿のため王である兄に疎まれ、理不尽な言い掛かりをつけられ、この塔に幽閉されてしまったティアラ。
「いただきます」
身分が下のアルクにも丁寧な言葉をつかう彼女はとても優しい性格だった。
「…アルク様、どうぞおかけになって下さい。
私が食べてる間、ずっと立っていてはお辛いでしょう?」
粗末な木の椅子に自ら座る彼女は毎朝アルクに破れてはいるが柔らかいソファーを勧める。
自分のために長い急な階段を登って朝食を届けてくれるアルクに、ティアラは心から感謝していたからだ。