囚われの姫
誰かが怒鳴る声が聞こえる…だが、はっきりとは聞こえない。
ティアラを抱き留めた腕は、器用に彼女の耳をぴったりと覆ってしまっていたのだ。
「帰るぞ。
出発まで、少し休むといい。」
閉じられていた耳の隙間から聞こえた声の吐息が、ティアラにはこそばゆい。
…それに、聞きたいこともあった。
出発という言葉の意味。
それまで休めと、その声は確かにティアラに語りかけている。
…だが、薄れる意識の中で、絞り出そうとした声はただの深いため息となってしまう。
優しく髪をすく手の温もりも手伝って、ティアラの意識は瞬く間に深い暗闇へと落ちていった。
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いつも読んで下さりありがとうございます
章”対峙”を書き直しました
お手数ですが”対峙”の最初から読んでいただけるとうれしいです
1度公開したものをまた書き直すこととなり申し訳ありませんでした
これからもよろしくお願いします