家政婦のメイド派遣します!
佐々木の喉がごくりとなった。

政界につながりを持っていると言われるほどの大財閥の名前に、様子を見守っていた周囲もざわめきだす。

当の佐々木などみるみる顔色が悪くなってきているのが手に取るようにわかった。

「まあ、爺さんがまだ生きてるから、継ぐのはまだすっと後になるはずだけど?」

桃子をそっと抱き寄せて直樹が佐々木を見下ろす。

海藤財閥の双子と言えばその界隈ではちょっとした有名人である。

祖父の海藤祐次郎は歴代の総理大臣も挨拶に訪れると噂される海藤財閥の総帥。

父親の海藤光太郎は祐次郎の力を借りずに一代で業界最大手にまで上り詰めた通販会社カイドウの社長。

2人は云わば財界のサラブレットとでも言うべき存在であろうか。

さらに海藤財閥の総帥である祖父の祐次郎は2人の才能をいち早くから見抜き、弱冠30代でいくつもの会社を任せている。

もちろん期待に漏れず、その会社の業績はどれも鰻上りなのは言うまでもない。
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