家政婦のメイド派遣します！
「桃子、メシおかわり。」

直樹は空になったお茶碗を桃子に差し出す。

彼のリクエストした桃子特製サラダと肉じゃが、茄子の煮びたしやお刺身などが並ぶ食卓で２人は少し遅めの夕食を取っていた。

直樹はいったん自宅に戻って私服に着替え髪も元の色に戻っている。

桃子はお風呂に入ったものの彼が『メイド服を着た桃子をもう少し見ていたい』というので仕方なくそのままの格好で夕食をとる羽目になってしまった。

「はい、どうぞ。」

ご飯を盛って直樹に渡す。

「直樹、今日は本当にありがとうね。」

出かける前は同行される事に戸惑っていた桃子だが、やはり多少は久しぶりの家政婦業務に不安があったのだ。

だから、いつも眼の届く場所に直樹がいてくれる事がとても心強かった。

今日の執事の仕事の為に彼が前日夜遅くまで残業をしていたのを知っているだけに尚更嬉しい気持ちが込み上げてくる。

「そうか？　あれは俺達の自己満足だぞ？」

残っているおかずを全て平らげて直樹はお茶をすすっている。

「まあ、ちょっと忙しかったけどこうして桃子の手料理を美味しくごちそうになって更にメイド姿をじっくり独占できるんだから役得だね。」

「じゃあ、またお願いっしちゃおうかな。」

桃子はそう言ってにっこりと笑った。
< 41 / 101 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop