家政婦のメイド派遣します！
美味しい料理を食べ終えて3人の前にはデザートのケーキが運ばれてきた。

そして祐樹と直樹の前にはコーヒー、桃子の前には紅茶が添えられる。

「ケーキはやはり正志さんの作ったものにはかないませんね。」

幼いころから日本最高レベルの正志の試作品を食べさせられている3人にとってはどんな美味しいと言われるデザートでもいつも渋い評価になってしまう。

他人に話すと贅沢な悩みだと言われるが、折角の料理をデザートの味覚のせいで最後まで美味しく食べられないのは大変残念なことだった。

「ん、思い出すと正志さんのケーキが食べたくなるな。」

直樹が残ったケーキを口に入れる。

桃子は正志との今朝の会話を思い出して深くため息をついた。

彼女のケーキは一口手をつけられたままになっている。

「桃子、何かあったんですか？」

ケーキを食べ終えた祐樹がコーヒーに口をつけて桃子をじっと見ていた。

桃子が慌てて笑顔を作ったが既に手遅れだった。

「そう言えば、今日俺が迎えに行った時も考えごとの真っ最中だったな。」

祐樹の疑問を裏付けるかのように直樹に追い打ちをかけられる。

桃子は眼の前に置かれた紅茶のティーカップをじっと見つめていた。

「桃子？どうしたんですか？」

「いったい、どうしたんだよ？」

気遣う２人の言葉が桃子を更に追いつめていく。

「……私、フランスに行くかもしれないの。」
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