家政婦のメイド派遣します！
「ん、旅行か？　なら一緒に行こうかな。」

「……どういう事ですか？」

直樹が軽く相槌を打ったが、祐樹は何かを感じたらしい。

下を向いたまま２人を見ようとしない桃子。

彼女がゆっくりと口を開く。

「父が…フランスに拠点を移すの。一緒に来てほしいって。」

正志は計画段階の事で桃子を困らすような父親ではなかった。

彼が桃子に話す時は、ほぼそれが確定した時なのだ。

今回も、フランスに移転するのは間違いなく確定事項なのだと分かっていた。

それでも、彼女を困らせない為に正志は今朝あんな言い方をしたのだ。

「私は、もちろん日本に残るつもりでいたんだけど……。」

桃子がそこまで言うと彼らはあからさまにほっとした表情を見せた。

「じゃあ、問題ないじゃないか。」

直樹が幾分強張った顔で冷めたコーヒーをすすった。

「そしたら、父が祐樹と直樹のどちらかと結婚する予定はあるのかって…。」

ごくりとコーヒーを飲み込む音が響いた。

「で、桃子は何と言ったんです？」


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