家政婦のメイド派遣します!
男はスッと桃子の前まで来るとニヤリと薄気味悪い笑いを浮かべた。

彼女は一歩後ろに下がる。

「もしもし、桃子?」

手元の携帯から祐樹の声がする。

「ゆ、祐樹…今どこ?」

話をしようとした彼女の手から男の手によって携帯電話が取り上げられた。

「もしもし、この間はどうも。」

男は一方的にそう言うと電話を切って近くのテーブルに置いた。

すぐさまその電話が着信を知らせる振動を繰り返すが男は液晶画面をみて薄く笑ったきり電話を取り上げる気配がない。

「あ、あの……佐藤さんですか? 雰囲気が違うので驚きました。」

桃子は努めて平静を装って眼の前の男に話しかけた。

「御戻りが早かったんですね。その携帯返していただいて良いですか?」

桃子が携帯電話に手を伸ばすとその腕はそのまま男の手に掴まれた。

「桃子さん、ひどいな。……佐々木ですよ、佐々木健太郎。」
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