家政婦のメイド派遣します!
掴まれた腕にキスをされてゾゾゾと鳥肌が立った。

祐樹や直樹にされるキスとのあまりの違いに笑ってしまうほど身体は正直だ。

「や、やめてください。」

桃子は慌てて佐々木の手を振りほどくと彼とめいっぱい距離をとる。

「父のパーティーの時にはっきりお分りになったんじゃなかったんですか?」

あの時の事を思い出した由香里は既にメイドサービスの口調ではなかった。

そっと荷物を掴むと玄関に続くただ1つのドアを見つめる。

「諦めましたよ…それなのに貴方からもう一度現れた。これは偶然じゃなく運命でしょ?」

ニヤニヤとうすら笑いを浮かべて佐々木がじりじりと近寄ってくる。

「逃げられませんよ……高いお金を払ってセキュリティが万全のマンションに住んでいるのは何故だと思います? 僕が許可しない人間はここに来る事が出来ないからです。」
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