テレビの中の、人。

8


一瞬、店内は静まり返った。


「あぁ、田中さん、酔ってんだよね今日、どうしちゃったんかな~?」

あたしは、咄嗟に場を取り繕った。



「なあに、酔ってないよ。りえちゃん、可愛いんだもん・・・。」

呂律の回らない口で、そうゆうと、


「ちょっと!・・・」


抱きつき、胸をさわり、

唇を、顔に近づけてきた。



「ちょっと!やめて・・・!」


「お客様!・・・」





その時・・・、


ツカツカツカ・・・


足音と、背後に人の気配がしたかと思うと・・・、




「オッサン!!」




田中の胸ぐらを・・・、



サックンが掴んでた。





!!!ー


「サックン!!」






「なんだ?オメェは?・・・」


田中が立ち上がる。


「嫌がってんだろ!」



・・・見たこともない、サックン・・・、





「あぁ?!」



「オサワリしたきゃ違うとこ行け!」


「なんだとコラァ!!やんのかテメェ!」




「ちょっと!やめて!やめてよ!」


止めに入った。

ボーイも、ママも、


慌てて、こちらに来る。




「ああ!!??」



二人はヒートアップしてて、

聞く耳持たない。



店内がざわつく。



今にも殴り合いになりそうな二人に、


「ちょっと!やめて!もういいから!」



割って入る。



「やめて!」




取っ組み合いになりそうになったその時、






「やめ・・・・!!・・・・」




バタッ。





あたしは倒れた。





限界に来てた「熱」が、

この動揺と、上がった心拍数に、

耐えられなかったんだろう・・・。





そこからは、記憶がない。







目が覚めた時には、







あたしの部屋の、天井が見えた。



ベッドに入ってて、


隣には・・・、




サックンがいた・・・。

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