声を聴かせて。
その時、胸が締め付けられるような、息苦しさが私を襲う。
……やめて。
謝らないで。
そんな風に、悔いた表情しないで。
……あの夜を、無かったことになんてしないで。
「……私」
私は静かに言った。
「…私、チーフになら何されても構いません。
“都合のいい女”だって良いんです」
言っておいて、自分でも驚いた。
まさか私がこんなこと口走るなんて…
彼の前だと、私は私ではないみたい。
まるで、別の人格みたいだ。
「…くっ…」
見ると、彼は肩を揺らして笑っていた。
「つ、都合の良い女って……
お前ホント、おもしれぇ奴だなぁ」
「そんな笑わなくてもいいじゃないですか」
私がむくれてうつむくと、彼がデスクから立ち上がる。
大きな身体が、私の前に壁のように立ちはだかった。