声を聴かせて。



「……お前……何言って…」


驚いた表情で私を見る。





「…見たんです。


2ヶ月くらい前に、チーフが綺麗な女の人と一緒に居るとこ…。

一目で、チーフの“特別な女性”だって、分かりました」







あの日…

街中で見つけたチーフの姿に胸が高鳴った次の瞬間…


その隣に、女の人が居ることに愕然とした。


私はその場から動けなくなった。



結婚してないとは知っていたけれど、

恋人がいるのかは、同僚さえも知らなかった。


仕事一筋で、あんな性格だからきっと独り身だろう。

早く結婚すれば良いのに。

チーフ、モテるんだからさ。


同僚が笑いながら、そう話してるのを耳にしたことがある。



恋人がいたっておかしくはないけれど、


あんな…

あんな、優しい目をする彼を見て…







私の中で、何かが崩れた。








その頃からだ。


私は、彼のことが好きなんだと…



彼がどうしようもなく“欲しい”のだと、思うようになったのは。








「…すごく綺麗な方でしたよね。


あんな素敵な彼女さんがいるのに、

チーフは他の女と、こんなこと出来ちゃうんですね」


「お、お前…」



彼の下に、私は手を伸ばした。

少し揉んだだけで、手の中でどんどん熱くなるのが分かった。




「おっ、おい…」



驚いた拍子に、彼が後ろに倒れこむ。

私は彼の身体を抑え込むように、その上に跨った。










< 9 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop