ブルーブラック2


「生田さんて新卒だよね?」
「はい!そーですよ!」


1階フロアではバイトの男子が美咲に興味津々といった感じで話しかけていた。

美咲は新卒の22歳。隼人と一緒だ。
たまたま面接を受けたところの中の、この弐國堂が採用しただけで特に彼女自身この店にも、文具にも思い入れはない。

ただ、周りが就職活動しているから―――

流れに沿って同じように就職活動しただけで、嫌になればまた他を探せばいい、程度の考えだ。

彼女のその考えは自然と態度にも出ている。

たとえば癖でもあるが、すぐに自分の爪をチェックすること。
それと、胸のあたりまであるウェーブがかった茶髪をくるくると自分の指に巻きとること。

そして、人の話を聞くときに目を見ないで返事をすること。


「生田さん、とりあえず色々な商品あるから、売場に出て陳列が乱れたりしているところを直したりしてくれるかな」


1階の責任者兼副店長の江川勇介《えがわゆうすけ》が美咲に指示をした。


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