ブルーブラック2
「はーい」


美咲はやはり斜め下へと視線を送りながらの返事をし、ゆっくりとレジカウンターから出て行った。

江川がその美咲の後ろ姿に、これから10日間のことを考え幸先不安に感じながら、自分も仕事に取り掛かった。

美咲はそんな江川の視線が外れた時に少し距離を置いた場所から江川をチェックする。


「···悪くはないけどなぁ」


美咲がぽつりとまた独り言を言うと、一応指示をされたように商品を整えながら店内を徘徊し始めた。

そんな様子を見ていたのは綾だ。
女の勘、とでも言うのだろうか。綾は美咲について何かよくないものを感じていた。

ただの“相性”の問題だけならいいのだけど。

そう思いながら綾も、美咲を気にしつつ業務に戻った。

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