ブルーブラック２
＊

売場にそれぞれが戻っても、すぐに隼人が再度紹介されつつ百合香の元へと戻ってきた。
2人はショーケースのペンを磨きながら先程の続きを始める。


「隼人くんのスーツ姿なんて想像できなかったよ」
「お姉さん、おれの想像中学生のままでしょ」


確かに。と、百合香は隼人を見て笑った。
ふと百合香が試筆をするためにインクを吸った、まだ未洗浄の万年筆に気が付き手にはめている白袋を取った。

丁度背中合わせになる格好でお互いにそれぞれの作業を行っているときに、隼人はちらりと百合香の方を見た。


「―――結婚、してるんですね」


さっきまで左手には白袋をしていた為気が付かなかったことである。


「え？あーうん」


その言葉に対して少し照れながら、下を向いたまま万年筆を手にしたままの百合香を隼人はただ見つめていた。


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