ブルーブラック2


「神野さん、今日は時間ありますか?」


閉店後にそう声を掛けてきたのは隼人だ。


「え?」
「や、なんか、話ちゃんと聞けなかったから··」
「話なんてないよ?隼人くんの気のせいなんだから!」


百合香は笑いながら店内をモップ掛けしている。
そのあとを追うように同じくモップを手に隼人が付いて回る。


「··おれじゃ、力になれませんか」
「そう、いうことじゃない、けど···」


きゅっと立ち止って視線を落としてそう呟いた隼人を振り返見る。
隼人は隼人なりに自分を思ってそうしているのだと思うと百合香は少し泣きそうになった。


「ごめんね?今日は用事もあるし。本当に大丈夫だから」

< 143 / 388 >

この作品をシェア

pagetop