ブルーブラック2

「あ、いらっしゃいませ!」
「どうも」


百合香がふと近づいてきた人影に気づいて見てみると、以前このイベントに興味を示してくれた女性のお客がそこにはいた。


「あれから色々と考えて。こんな色のインクがあればなって思ってきたんですけど」


女性はそう言いながら自分の鞄からごそごそと手帳を出し、その間に挟めた切りぬきを百合香に渡した。


「―――きれいな色ですね」


その切りぬきは海だった。

透き通るような水平線を切り取ってその女性は来店したのだ。


「金山さん、こちらのお客様のご希望の色だそうです」
「どうぞお掛け下さい」


金山は百合香から切り抜きを受け取ると女性に椅子をすすめてテーブルを挟んで向かい合わせに座った。


< 170 / 388 >

この作品をシェア

pagetop