ブルーブラック2

百合香から少し遅れを取って綾も女子トイレから出ると、ちょうど事務所に戻ろうとしていた智を見つけて声を掛けた。


「柳瀬くん!」
「···桜井」


開きかけたドアをまた元に戻して智は駆けよってきた綾を見た。


「休憩か?」
「はい。2階と違ってうちはヒマですから」
「···ヒマねぇ」
「それより、百合香の様子気にして下さいよ」


綾の言葉の意図を勘違いした智は急に深刻な顔をした。
しかしよくよく考えるとさすがにさっき江川に話した内容が綾に伝わるのは早すぎると思いなおして綾に問う。


「気にするってなにを」
「···大きい声では言えないんですけど」


綾はそう前置きして口元に手を添えて少し智に近づき、小声で伝える。



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