ブルーブラック2


「さて、早速始めようか」


あれだけ賑わっていた店内も、閉店の時間を過ぎれば寂しい程に静寂だ。

BGMもない、そんな店内に響くのは金山の声と、シェイカーの金属音。

それとインクの微かな水音。


「すみません。なるべく早くマスターします」
「そんなに早くマスターされちゃ、さっきも言ったけど私の商売なくなってしまうよ」


豪快に笑いながら金山は百合香に言った。


「でも····大体どのくらいかかってしまいますか?やっぱり金山さんにあまり付き合わせてしまうと···」


百合香は本心から、金山にあまり長く付き合わせてしまうことが申し訳なく思っている。
それと同時に智からのメモも当然気にしていて、どうしても時間が気になってしまう。


「いや。それもさっき言ったけど、神野さんと残業なんて楽しくて仕方ないよ。だけど···」


ちらりと百合香を避けるように頭を横にずらして遠く後方に視線を送りながら言葉を止めた。



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