ブルーブラック2


「―――その話、俺が代わりに聞くけど」


その声に美咲は背筋を伸ばして立ち止まる。

後ろから聞こえたその声は、もう会いたくない・・いや、会うのが怖い人物だとわかっていて動けなかった。


「柳瀬店長!」
「おはようございます、富田さん。後は私が」


智にそう言われた富田は事務所へと入って行った。

誰もいない廊下に今度は智と二人きりになった美咲に物凄い緊張感が襲う。
一向に動かない美咲の背中を見て、智はそこから動かずに口を開く。


「――――逃げんの?」

「―――っ」


その見下したような、挑発するような口調で言われた美咲はつい反応してしまって思い切り振りむいた。

美咲の視界に入ってきたのは、何の感情も読み取れないような表情をした綺麗な顔立ちの智。

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