ブルーブラック2

「お待たせいたしました。こちらと同じペンをお探しでしょうか」


美咲の横からふわりと優しい風を運んでそう言ったのは百合香だった。


「ええ。これ、主人が使いやすいというものですから頼まれて」
「そうですか。どちらも現行品ですからお求めいただけますよ」
「本当!よかったわ!じゃあ赤と黒それぞれ2本・・・いえ、5本ずつ位貰おうかしら?」
「在庫は充分ございますけど、インクも劣化するものですから、もし使用頻度があまりないようでしたら2本くらいでいいかもしれませんね」


流暢に会話をする百合香はこの上なく優しい笑顔なのを美咲は見ていた。


「少しお待ちくださいね」


そう言い残して百合香は売場へ消えていくと、ものの数十秒で希望されているペンを手にして戻ってきた。


「こちらでお間違えないですか」
「ええ。そうね」
「ありがとうございます。生田さん、お会計をお願いします」


百合香に仕事を振られて、美咲はハッとして慌ててそのペンを手にとってレジを打った。

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