ブルーブラック2
(こ、こんなのわかんないよ)
それは美咲にとってただのボールペン。
似たようなものは溢れるほどある。ならば、どれだって同じじゃないかと思う。
目の前に転がったペンは、どちらも使い古されていて、印字も擦れて何も手掛かりが見つからない。
困り果てた美咲は顔を上げて周りを見回した。
(坂谷さん・・・)
生憎坂谷もお客に捕まっているのを見て、さらに気持ちは焦ってしまう。
さっきいた長谷川を思い出すが、彼女もどうやら接客中らしい。
「これ、あるのかしら。ないのかしら?」
「あ、あの・・・えぇと」
余りに何も言わずにただペンを手に取っているだけの美咲に女性客は少し急かす様にまた質問をする。
なんの心の準備も出来ていなかった美咲はいつも以上に混乱してしまっていた。