ブルーブラック2
それからも美咲は盗み見る様に百合香の動向を窺っていた。
お客がいなくても常に何かをしている百合香がいた。
電話応対だったり、注文書を抱えて売場に出たり。
メーカー担当の姿が見えたら挨拶に行って一緒に品出しをしていたり。
もちろん一番に優先されているのは“お客様”で、百合香は常時周りを気にしてそのような作業を進めていた。
「すみません」
「はい、いらっしゃいませ・・・あ」
「こんにちは、神野さん」
「こんにちは」
そんな時に声を掛けられた年配の女性を見て百合香が知り合いのように振舞ったので美咲はまたそれが目に留まった。
「修理が終わったと電話をくださってましたので来たんです」
「はい。あちらにお預かりしてますのでご一緒に」
そう言って百合香はその女性と共に美咲が立つレジの前を横切って万年筆カウンターへと戻ってきた。