ブルーブラック2
「こちらです。長らくご不便お掛けいたしまして申し訳ありません。こちらでお間違えございませんか?」
百合香はそういってショーケースを挟んだ女性に小さな封筒から丁寧に万年筆を取り出して確認をとった。
「はい。間違いないです」
「では、実際に書いてみて状態を確認して頂いてもいいでしょうか」
「ええ、もちろん」
そう言って女性は百合香の目の前にあるペントレーから自分の万年筆に手を伸ばした。
「あ、よければあちらに」
その手が届きそうな時に百合香は横にある椅子を示して言った。
「普段立って書かれることはあまりないですよね。少しでも日常と同じようにリラックスして確認して頂けたら、と」
「ふふ。本当いつも気がきくわね。ありがとう」
そう言って女性はゆっくりと椅子に腰を掛けて、百合香はそれに合わせてカウンターの中からまた女性の向かいまで歩いていくとペントレーをそっと女性の脇に置いた。