ブルーブラック2
「…はぁっ…っ」
それから少しして、今度は本当に智から解放された百合香は言葉が出ずに、ややしばらく胸に手をあてて乱れた息を整える。
そして、ようやく口を開いた。
「も…う、智さんってば!」
「なに」
「なにって…智さんてそんなにイベント重視するタイプだって知りませんでした」
智の上から降りて隣に座りなおした百合香が目を泳がせたままそう言った。
「いや、別にそんなに興味はないけど」
そんな百合香をじっと見て、智が答える。
その答えに百合香はぽかんとして、見つめ返し、漏らす。
「…じゃあ、どうして…」
「ふっ…“どうして”ね。それは俺にもわからない」
「…???」
智が小さく笑いながら言う。
“わからない”という返答に、百合香の頭には疑問符しか出なかった。
「今まで、どんな日でも別になんとも思わなかったけど。でも、なんとなく…百合香といるとそんな特別な日を普通に過ごすのが勿体なく感じたから」
「…?それってどういう……」
「重視してるのは百合香のことだけってことかな」
そう言いながら、智は百合香の髪を掬った。
はらりと最後の毛束が落ちると同時に智がソファを立った。