ブルーブラック2
「まぁ……静かだな」
「この時期、世間的にイベントも大してないからなー」
そう言いながら伸びをする江川は、フロアを他の社員に任せて、自分はパソコンに向かって事務処理などをしているようだ。
「あ、百合香ちゃんどう?」
「つい今その話してきたばかりだ」
「え? 誰と」
「坂谷」
「ああー。で? どうなんだ?」
「…変わりない…と思う」
ギシっと自分の席につきながら智が答えた。
そんな智をじろじろと見ながら江川が茶化す。
「ほんとーは気になるくせに」
「…そりゃ気にはなるだろ? お前も」
「オレは2人目だから、流れは大体把握してるからな」
そんな会話をしているときに事務所で電話が鳴り響いた。
その音にいち早く反応したのは智だ。
しかし、受話器を取ったのは経理の社員。
その経理の社員の応答に意識を奪われている智を江川は頬杖をつきながら観察していた。
「ええ。はい。そちらの商品は当店の1階に―――…」
そんな経理の受け答えが聞こえてきたときに、智は無意識にふっと息を吐いて背もたれに寄りかかる。
「大分神経張ってるな」
「……」
にやにやと江川が冷やかすが、智はそれに対して何も反応できずに咳払いをするだけだ。