ブルーブラック2

「ありがとうございます。二國堂でございます」


先程と同じ経理の社員が電話を取る。
それを確認した三人は、声のトーンを落として続きを始める。


「柳瀬さんが取り乱すなんて、やっぱりないんすかね」
「いやー。意外に…」
「おい、いい加減に…」

「店長! 神野さんから1番にお電話ですー」


三人の会話が経理からの言葉で、沈黙する。
智に至っては、ガタッと席を立ってしまっていた。


「え? 神野さん…て」
「おい、もしかして…早く出ろよ!」


坂谷が目を丸くして2人を見回し、江川が呆然としてる智に声を掛ける。

その声で我に返った智は自分のデスクにある電話の受話器を上げて1のボタンを押す。


「もしもし」


智の声に、江川と坂谷は集中する。


「え? ああ。大丈夫か? そう…わかった。気を付けて」


あまり情報が得られない智の短く少ない言葉だけで、電話は終わってしまう。
立ったまま通話を終えた智は、ゆっくり椅子に腰を掛け、パソコン一点を見つめていた。

そしてそのまま何も言わず、動かずの智に痺れを切らしたのは江川だ。


「おい。大丈夫なのか?」


その答えは江川だけじゃなく、横に居る坂谷も気になるようで、前傾姿勢のまま智を見ていた。


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