ブルーブラック2
「一応…碧はヒミツにしたがってたから…」
「いや、気付いてた」
「え? 知ってたんですか?」
「だけど、相手が坂谷とまではな」
そんな話をしていたら、3人の元に足音が近づいてきた。
「お! 百合香ちゃん。と、大地!」
「お!」
振り向くと、そこには先刻立ち寄ったまどかの主人、江川がいた。
「コラ。大地! だめでしょう? そんな挨拶」
「大地は江川が好きだからな…なんでも真似する。江川、責任とれよ?」
「え……」
よく家族ぐるみで会ったりするのだが、大地は江川がお気に入りらしい。
初めこそ智は息子を取られたようで、面白くなかったが、いまや女の子よりもおしゃべりが好きな大地の相手をずっとしているのも疲れるので、江川に任せきりだ。
「あれ? 碧ちゃんは?」
「あ…それが――――」
「あおいはねぇ」
「だーいーちー」
江川の問いかけに大地がまたぺらぺらと話をしようとしたので、百合香が口を抑えた。
「なになに? なんか面白い話じゃないの? コイツがこんな顔してるってことは」
江川はそういって智を指さしてからかうように笑った。
「うるさい」
「図星か!」
「――まぁ英太よりは、いいとするか」
「は? 英太? なんで英太が出てくんの?」
頭が疑問符でいっぱいの江川は大きく首を傾げて智に問う。
その意味は百合香にもわかっている。
そのため、理解していない江川に、智がなんて答えるのかを黙って様子をみていると――。
「わかったぁ!」
大人の会話に、またもや負けず劣らず入ってきたのは大地。
それに対して普通に江川が返す。
「え?! 大地がわかるの?!」
「うん。わかったよー」
「なに?」
「おとーさんは、えいたよりじゅんにーちゃんのほうがいいんだって!」
「『じゅんにーちゃん』??」
江川はその聞きなれない呼び名を復唱して、目で智に訴えた。