ブルーブラック2
「それで、さっきの場面も見た百合香は、そんな顔をしてるんだ」
「き、気付いてたんですか!?」
「今日だけじゃなくてもいつも俺のとこ見てから事務所通るだろ?」


(椿の言うとおりだ)


百合香は椿の“視野が広い”という言葉を思い出して感嘆の息を漏らした。


「はぁ。感心するところじゃないだろう」
「あっ··そうでした···」
「本当はそんなに気にも留めてないんじゃないの?俺の所に生田さんが来ていたことなんて」
「そんなことっ···!」


必死に百合香が否定しながら智の方を振り向くと、その瞬間に智の香りと腕に包まれた。


「俺はいつだって嫉妬しっぱなしなのに」


智は結婚しても、変わらない。
むしろ、職場でセーブしている分、プライベートとなると愛情表現がストレートになっている。


「私だって、必要以上に女の人と話して欲しくないです。」


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