ブルーブラック2

「ああ。俺も今日江川に付きあわされそうで。丁度よかったかな」
「え、江川さん?」
「帰りは江川次第だから、一緒に帰れるかはわからないけど」
「あ、大丈夫です」


話が終わって百合香は5階に降り、智はエレベーターに乗り込む。


「じゃあ」


そう言って智が優しく笑った。
ゆっくりと扉がしまっていくのを百合香は見届けていた。
廊下の窓の陽射しが閉まりかけた扉の隙間から見えていた智の“桜”のクリップに反射して、百合香は目を細めた。


ガコン



(―――どうしよう。隼人くんもって言えなかった···)



小さな罪悪感と少しの不安は次第に深みを増していく。

あの群青のように。

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