裁き屋始末録
 
「なに!?」


てっきりボランティア紛いの仕事を押し付けられると思っていた秋野は、驚いて千早を見た。

「裏の掟を知ってるだろ?
裁き屋も間仕切り屋も、元締を通さなけりゃ仕事は受けちゃならない。

裏業務の連携だってそうだ。
元締同士で話合って、それから組むかどうか決める。
掟を破ったら…」


「殺る相手は…
ウチの元締を殺った相手よ」

「何だって!?」


闇の世界での抗争は、とりわけ珍しいことでは無い。

しかし他のグループでも、元締が殺られたという情報なら早急に回って来るハズだ。

間仕切り屋の元締が殺られたという話、秋野は初耳だった。


「ちょ、ちょっと待ってろ」

秋野はメールで仲間に確認を取ろうとする。

が、千早にケータイを素早く取り上げられた。

「駄目よ。
この件は、私とアッキーだけでカタを付けたいの。
お願い、分かって…」


涙目で懇願する千早に、

「あ、あぁ…」

秋野は思わず了解の返事をしてしまった。


「じゃあ、行きましょ」

公園を出てバイクに跨がった千早は、秋野にヘルメットを渡そうとするが、

「いいよ、俺にはスクーターのメットがあるから」


2人を乗せたバイクは、夜の街へと疾走を始めた…

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