触れる音感 《密フェチ》
息を吸う。

吐かれたときには、鮮やかに、その場の空気を染め替えた。

正確な音感。

甘くて空気に溶ける、声。

ただの静かな鼻歌を、彼は媚薬にした。

「だから・・・ね?」

いつの間に近づいたのか、声が、すぐそばでした。

少し鼻にかかった、かわいい声。

こいつ、いつもこんな声だったかな。

その声に、さらに甘さを濃く、乗せて、

「もうちょっとだけ、いてよ」

声が、空気に溶ける。

あたしの耳に、その、とろける振動が伝わる。

振動は脳みそをとろんと溶かして、あたしを頷かせる。




おわり。
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