赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
だがキサラは、はいそうですかと従うわけにはいかなかった。


出戻り女にはなりたくない。

他の場所に行けと言われても、見知らぬ土地でまた家に籠《こ》もる様な生活は出来ればしたくない。


何より。

『ありがとう』

そう言って微笑んだメルリナを裏切りたくなかった。


だから従うわけにはいかない。


キサラはジュークの黄昏色の瞳を睨み付ける様に見つめ、ハッキリと自分の意思を伝える。
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