赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
 


真っ先に目に入ったのは土で汚れたキサラ。

鮮やかな青色のドレスはみすぼらしく、結い上げられていたはずの髪はボワボワに乱れていた。


そんな姿でも、ジュークは構わず彼女に抱きつく。


間に合った。

大丈夫、キサラはまだここにいる。


腕の中に収まる細い体。

柔らかな肌。

その感触にジュークは全身で安堵した。


「う、えっ!? じ、ジューク様??」

キサラの戸惑いの声が耳元から聞こえる。

その声にも安心した。


そうしてキサラの無事を噛み締めていると、邪魔者の声が掛けられる。
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