赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
「ジューク様……。その娘から離れて下さいな」

甘ったるい声音に、安らかだったジュークの心に怒りが戻ってくる。


「今話しをしていたところなんです。ジューク様はお帰りになって?」

優しそうな声音ではあったが、チラリと見たその瞳は濁っていた。


(キサラとは真逆だな)

キサラの澄んだ新緑の瞳。

それとは真逆の濁った黒い瞳にジュークは不快感を露わにした。


「黙れ」

怒りを隠しもせずに口を開く。

キサラをかばう様に背後にやり、ジュークはアンジーに向き直った。
< 329 / 438 >

この作品をシェア

pagetop