赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
キサラは今度は静かに聞いていた。

室内を灯《とも》すロウソクの火が揺らめく。


その揺らめきの中、メルリナは語る。



その当時、跡を継げる血筋の者は女しかいなかった。

当時はまだ差別が激しかったから女では当主になることは出来ず、マクスウェル伯爵家はもう潰れるしか無いという頃……そいつは現れた。


吸血鬼の男。

闇に属する恐ろしく美しき生き物。


< 70 / 438 >

この作品をシェア

pagetop