君の声がききたい
――『大丈夫!みんなの口の動き見てたら、なんとなくわかるよー』

「そっか」


沙和はフッと笑い、タバコに火をつけていた。




沙和は日に日に元気を取り戻し、

よく笑うようになっていた…


俺が“一緒に住もうか”と言ってから、沙和はなんだか機嫌がいい。




「あれ?でもさー…引っ越しってどこに引っ越すの?」




隼人が思い出したように言う。



「もしかして、奏んち?あそこに2人で住むの?」

「違う違う。俺が沙和んちに引っ越すんだよ」


俺んちのアパートは、ワンルームだし…

いくらなんでも狭すぎる。




「あ、そうなんだ!」

「沙和んち広いしね〜私もそっちの方がいいと思うよー」


ハルちゃんが、メニューを開きながら言った。




「本当は新しく住む家探したかったんだけど…沙和んちのマンション持ち家だから、手放すわけにいかねえみたいだし・・」

「そうだね。でもいいじゃん!その方がお金かかんないし。まぁ、沙和の家に奏くんが転がり込む=奏くんが沙和に尻に敷かれてる感じだけど(笑)あ、すみません〜ウーロンハイ一つ!」



う…(汗)

痛いとこつかれた。


今ハルちゃんが言ったこと、実は俺も密かに思ってたこと。


別に尻に敷かれてることが嫌なわけじゃないけど…

俺も男だし…
色々プライドがあるわけで…
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