君の声がききたい
――『“お前を大事にしたい”とか‥カッコつけてたけど…もうそんなこと言ってらんねえくらい…今は、お前を早く自分のものにしたいんだけど…』

「・・・・」

「どう思う…?」

「………!」


俺の言葉に、沙和は顔を赤くして言った。




――『私も…早く奏のものになりたい・・・』


爪をいじりながら、恥ずかしそうに言う沙和。



「ドMだな、お前…」

「……っ!」

「いててて…」


俺をバシバシと叩く沙和。





沙和はかわいい…


見た目も中身も。


こんなに女をかわいいって思ったのは、初めてだ。


そして…

こんなに人を好きになったのは、初めてだ。





沙和が好き。

本気で。


ずっと一緒にいたい。







早く…



俺のものにしたい…






俺は翌日

不動産屋に電話して、部屋の解約を申し出た。

そして引っ越しの日取りは、一週間後に決まった。
< 229 / 314 >

この作品をシェア

pagetop