君の声がききたい

姉の選択

ガタン

ガタンガタン


あれから数日後

俺は朝から、沙和と電車に乗っていた。

向かう先は…



――『姉ちゃん…何時に空港に着くって?』


隣にいる沙和に、手話で聞く俺。



――『10時には着くって行ってたよ。空港の中にある、カフェで待ち合わせねって…』

「そっか」


数日前。同棲することを、沙和の唯一の身内である、海外に住むお姉さんに知らせた。

俺に一目会いたいというお姉さんは…忙しい中、今日ははるばる海外から日本に来てくれるらしく…

俺は早起きして沙和と、空港に向かっていた。


沙和の姉ちゃんて…

どんな人だろ…


俺は空港までの道のりを、ずっとそんなことを考えていた。














がやがや

がやがや



――『ここじゃねえか?待ち合わせのカフェって…』


成田空港に着き、沙和の姉ちゃんと待ち合わせしているカフェを見つける俺。



――『うん、ここだね!』


カフェに入ると、沙和はキョロキョロと店内を見渡す。





――『姉ちゃんいた?』
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