HERO
ギュッと私の体を抱きしめる腕。


そっと私の頭を撫でる手。



「とーま...」


「すみません、余計なことを、言ってしまいましたね。千尋とどこか似てるだなんて...」


「うん、もう、言わないで...」


「すみません。美亜さんは、きっとたくさん辛い思いをしてきたのですね」



辛い思いなんて。


そんな一言で片付けられたら、どれだけ幸せだろう。



汚れてなんかない、さっきは自分でそう言ったけど。


本当はわかってる。



私は、汚れてる。


あのときから、ずっと。



忘れたくても、嫌でも頭から消えない。
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