HERO
「早く行こ、俺、待つの嫌いだから」



空気が読めないのか、わざとなのか。


多分、後者だろうけど、その男は私を急かす。



「美亜さん、あなたは、ここの名前を使ってそんなことをしていたのですか」


「とーま!そんな言い方するなよ、後は俺が美亜さんと話すから。あなたも、わざわざ来てもらって悪いけど、美亜さんを渡すつもりはないから」



そんな台詞に、その男は笑った。


そうだね、私だって笑っちゃう。



渡すつもりはないって、まるで私がわんこのものみたいな。


そんな言い方。



「いいよ、別に、そういうことなら。じゃあね、美亜ちゃん」



ほらね、やっぱり女に困ってない。


きっと今から、違う女の子を誘いに行くんだ。
< 202 / 441 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop