HERO
「実は...」


ようやく話す気になった彼女が、そう口を開いた時。



そう広くないマンションは、その音を響かせるのに充分だった。


玄関の鍵が、ドアが、開く音。



それが良くない状況だってことは、彼女の顔を見たらすぐにわかった。



どうしようと呟いて、目を泳がせてる。


とにかく落ち着かせなきゃと思い、友達ってことにしようと彼女に提案した。



彼女は頷いて、必死に呼吸を落ち着かせてた。



私は、焦って気づかなかった。


彼女が動揺しすぎてることに。



普通、彼氏が帰ってきただけで、こんなに動揺しない。
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