HERO
「では、失礼します。あ、美亜さんには二度と近づかないでください。でないと、あなたが困ることになります」


「本当に、面倒な人達だ。美亜、楽しかったよ」



もう、そいつの顔は見なかった。


そのままその部屋を出て、外の空気を思い切り吸った。



楽しかったよ、その言葉が頭から離れない。


昔、私がそいつから離れるとき、最後に同じことを言ったんだ。



震えが止まらない、涙も出てきた。



でも。


今度はわんこが傍にいてくれた。



やんわりと抱きしめてくれて、何だかそれが落ち着く。


頑張ったね、よしよし、なんて言いながら、頭をなでるわんこ。
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