HERO
とーまが気まずそうに咳払いをする。


でも、わんこはそんなのお構いなしなんだけど。



「僕はまだ仕事があるので、先に失礼します。後は頼みますよ、洋一」


「ごめんね、手間かけちゃって。あ、動画、消しといてよ」


「わかってますよ」



そう言って、とーまは歩き出した。


俺らも帰るか、ってわんこの一言で、私たちも歩き出した。



帰ってきて、何だか忘れてるような気がしてならなかったけど。


まだ止まらない少しの震えが、考えさせてくれなかった。



「傷、早く治らないかな...」


そう言ってわんこは、私の首に手をやる。



その手が、あったかかった。
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