HERO
「思い出したわ。最初に依頼をしにお店に行ったときに、彼がいたのよ」


「彼...?」



わんこが不思議そうに尋ねる。


何だか胸騒ぎというか、嫌な予感というか。



そういうのがして、結局私も振り返った。



「そのとき付き合ってた彼の、もう一人の息子よ。名前は確か...」


「千尋...」



ポツリと自分の口から出た名前が、何だか急に怖く感じた。



ブルーが、もう一人の息子?


あいつの、兄弟?



「そう、千尋くん。付き合ってたとき、彼はもう家を出ていってしまってたみたいだから、あなたと会うことはなかったけど。私は、写真で見たことがあって」



何とも言えない感情が、じわじわと心の中を支配していくような気がして。


ぐちゃぐちゃの頭の中が、今度はもう、真っ白だった。
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